年収1100万の生活レベルは?家賃や手取りはいくら?税金や生活レベル・目指せる職業を解説

日本の総労働人口の中で年収1,100万円を超えている人はどのくらいいるのでしょうか。

本記事では、高所得者の割合や生活レベル手取り年収など、気になる点を網羅的に紹介しています。

将来、1,100万円の年収を目指している人は、ぜひ記事内容をご確認ください。

目次

年収1100万の人の手取りはいくら?上位何%?

年収1,100万円の人の手取り金額やその割合は上位何%になるのでしょうか。詳細をまとめました。

  • 年収1,100万円の人の手取りは約790万円
  • 年収1,100万円世帯の手取り年収
  • 年収1,100万円以上の割合は全体の4%

年収1100万円の人の手取りは約790万円

国税庁や日本年金機構、全国健康保険協会の公式情報をもとに計算した場合、年収1,100万円の人の手取りは介護保険無しで約790万円した。

介護保険ありの場合は約780万円です。主な税金は次のとおりです。

30歳単身東京住まいの場合

税金の項目年間月額
所得税1,027,300円85,608円
住民税733,200円61,100円
健康保険558,000円46,500円
厚生年金713,700円59,475円
雇用保険66,000円5,500円
介護保険0円0円
手取り7,901,800円658,483円

上記の表はボーナスがない場合の計算ですが、ボーナス込みの年収で計算すると手取り額は約77万円になります。毎月の手取り金額は約35万円です。

かなりの金額の税金を収めていることがわかります。

年収1100万円世帯の手取り年収

結婚して配偶者がいる場合は、配偶者控除を利用して所得税や住民税の支払額を抑えることができるため、結果として手取り額が増えることがあります。

例えば世帯年収1,100万円のうち、妻が年収100万円のケースでは、年間の手取りは約790万円、毎月の手取りは65万円です。

仮に妻が扶養控除を外れた場合でも、一人で1,100万円稼ぐより世帯での手取り年収は増えます。

30歳東京住まい配偶者の年収が100万円の場合

税金の項目年間月額
所得税967,500円80,625円
住民税711,200円59,267円
健康保険558,000円46,500円
厚生年金713,700円59,475円
雇用保険66,000円5,500円
介護保険0円0円
手取り7,901,800円658,483円

年収1100万円以上の割合は全体の4%

全体男性女性
~100万円7.8%3.4%14.0%
100~200万円12.7%6.2%21.5%
200~300万円14.1%9.8%20.0%
300~400万円16.5%15.5%17.9%
400~500万円15.3%17.7%12.1%
500~600万円10.9%14.2%6.4%
600~700万円6.9%9.5%3.4%
700~800万円4.8%7.1%1.7%
800~900万円3.3%5.0%1.0%
900~1,000万円2.2%3.4%0.6%
1,000~1,500万円4.0%6.2%1.0%
1,500~2,000万円0.8%1.3%0.3%
2,000~2,500万円0.3%0.4%0.1%
2,500万円~0.3%0.5%0.1%

国税庁の民間給与実態統計調査によると、年収1,100万円以上の割合はおよそ4%と推定されます。男性では6.2%、女性では1%という結果でした。

全体で見ると1,000万円以上の所得がある人はごく少数です。もっとも多い年収は、300万円〜500万円の間となっています。

日本は多くの中間層によって支えられていることがよくわかる統計です。

同様に世帯年収の分布も一覧表にまとめてみました。

世帯年収割合
50万円未満1.2%
50万~100万円5.5%
100万~150万円6.4%
150万~200万円6.6%
200万~250万円7.7%
250万~300万円6.9%
300万~350万円7.1%
350万~400万円5.5%
400万~450万円5.6%
450万~500万円4.7%
500万~600万円8.4%
600万~700万円7.3%
700万~800万円6.2%
800万~900万円4.9%
900万~1,000万円3.6%
1000万円以上12.4%

世帯年収でみると1,000万円を超えている割合は1割を超えています。1,100万円という括りでみても誤差の範囲でしょう。

単身で1,100万円稼ぐ人は少数ですが、世帯年収1,000万円を超える世帯はそうめずらしくありません。

税制面を考慮して、あえて世帯で1,100万円を稼ぐように調整している家庭が多いことも考えられます。

年収1100万の人の家賃や生活レベルはどのくらい?

年収1,100万円の人はどのような生活ができるのでしょうか。生活レベルを考察してみました。

  • 独身一人暮らしの生活レベル
  • 既婚で子どもが一人いる年収1100万円世帯の場合

独身一人暮らしの生活レベル

項目出費
家賃220,000円
水道光熱費12,000円
食費80,000円
通信費10,000円
交通費20,000円
娯楽費・交際費100,000円
雑費100,000円
合計542,000円

年収1,100万円の一人暮らしの場合、かなりゆとりのある生活ができます。上記の例は都内住まいでそれなりに贅沢な生活をしているケースです。

ある程度贅沢な生活をしていても月十数万円の貯蓄ができるレベルです。贅沢を慎めばさらにお金は貯まるでしょう。

生活レベルを上げることもできますし、あえて質素な生活をして預貯金に回すなど、年収1,100万円あれば選択肢は多いです。

既婚で子どもが一人いる年収1100万円世帯の場合

項目出費
家賃235,000円
水道光熱費23,000円
食費110,000円
通信費13,000円
交通費15,000円
娯楽費・交際費90,000円
雑費90,000円
合計576,000円

単身生活の人にくらべて、交通費や娯楽費などで少し調整が入っていますが、普通に生活をしていても子どもの教育費のための預貯金は十分にできます。

教育費の割合を増やしたい場合は、食費や雑費、娯楽費などを調整するだけで十分です。

都心でもゆとりある生活ができるでしょう。

年収1100万を超えたら税金はどのくらいになる?

会社員の場合、年収から天引きされる税金の項目は次のとおりです。

  • 社会保険料(健康保険・厚生年金保険料・40歳以上は介護保険)
  • 雇用保険料
  • 所得税
  • 住民税

単身かつ扶養家族がいない東京住まいの会社員を想定して手取り額を算出してみました。

介護保険二号被保険者、賞与なし、所得控除は基礎控除のみとしています。

  • 健康保険料:約55万円
  • 厚生年金保険料:約71万円
  • 雇用保険料:約6万円
  • 所得税:約100万円
  • 住民税:約73万円

年間で約305万円の税金が引かれることになり、手元には800万円程度が残る計算です。世帯年収1,100万円の場合、控除額が増えるため手取り額はもう少し増えます。

年間300万円もの税金を収めるのは酷な話ですが、サラリーマンの場合、節税の手段が限られているため、税金から逃げるのは難しいです。

年収1100万はすごい?勝ち組?割合を調査

厚生労働省による「令和元年賃金構造基本統計調査の概況」をもとに、年収1,300万円の割合を一覧表にまとめて推測してみました。

男性

平均年収年収1000万円以上の割合
20代約280万円0%
30代約372万円1.2%
40代約450万円3.5%
50代約504万円7.7%

女性

平均年収年収1000万円以上の割合
20代約265万円0%
30代約302万円0.5%
40代約324万円1.2%
50代約326万円1.6%

全体を通してみても年収1,000万円を超える人の割合はとても少ないです。女性の割合はさらに低く、もっとも多い割合でも1.6%です。年収だけを見て判断すると1,000万円以上を稼ぐ人は勝ち組と考えて良いでしょう。

年収1100万を稼ぐには?目指せる職業を紹介

年収1100万円を狙うにはどんな仕事に就けばよいのでしょうか。年収1,000万円超えが可能な職業を6つ、ピックアップしました。

  • 大手商社勤務のサラリーマン
  • 医師
  • 大学教授
  • 漁師
  • 弁護士
  • 公認会計士・税理士

大手商社勤務のサラリーマン

商社は食料品や自動車、石油、石炭など幅広い商品の輸出入や国内の取引に携わる企業です。代表的な商社に「5大商社」と呼ばれる「三菱商事」「伊藤忠商事」「住友商事」「丸紅」「三井物産」があります。

5大商社の各平均年収は、軒並み1,000万円を超えています。本格的に年収が高くなるのは30代以降からですが、20代でも平均年収以上を得られる可能性は十分にありえます。

医師

病院やクリニック、専門や勤務地域によって収入は異なりますが、キャリアの積み重ねによっては、年収1,000万円以上を狙える仕事です。

医師になるには大学の医学部や医科大学で6年間学んだ後、国家資格を取得しなければいけません。

資格取得のあとに病院で臨床研修を2年行うと、医師として医療行為に携わることができます。

年収1,000万円を狙える職業ですが、肉体的、精神的ともにハードな仕事です。オンとオフを切り替えられ、向上心や体力のある人でなければ務まりません。

大学教授

大学教授も年収1,000万円以上を狙える職業です。規模が大きな私立大学では、年収1,000万円以上も狙えます。

地域や学校の規模によっても収入はばらばらです。一般企業に比べるとボーナスが高額となる傾向があります。

大学教授は、小学校や中学校の教師と違って、教員免許がなくてもなれます

代わりに、大学の専門的な授業を行うための深い専門知識が必要です。

大学教授になるには、大学卒業後に大学院に進み修士号、博士号を取得する流れが通常です。

まずは助教や助手として採用され、講師、准教授、大学教授とキャリアアップしていきます。

漁師

漁師は天候や漁獲量によって収入が左右されるため、決して安定しているとはいえませんが、漁獲量次第では年収1,000万円以上を狙える仕事です。

小型の船を操って魚を獲る場合、「小型船舶操縦士免許」「海上特殊無線技士免許」「漁業権」が必要です。

漁業権は各地の漁業協同組合に加盟して売上の一部を支払うと取得できます。取得方法は各地域で異なるため、取得したい場合は漁協へ問い合わせてみましょう。

弁護士

弁護士は、難関資格をクリアした人だけしかなれません。専門性が高い仕事なだけに年収1,100万円の高収入を十分に狙える仕事です。

弁護士になるためには、司法試験に合格した後、1年間の司法修習を修了が必須です。その後、大手事務所へ所属できれば20代のうちから年収1,000万円をクリアするのも夢ではありません。

事務所によって収入に差があるので、1,000万円を狙う場合は事務所の規模や取り扱いの案件を良く確認しましょう。

公認会計士・税理士

公認会計士は、監査や会計の専門家として会計や税務、コンサルティングを行う仕事です。

公認会計士と税理士は、年齢や性別、国籍に関係なく受験できる国家資格の一つで、医師や弁護士と並んで高い難易度の資格試験をクリアしなければいけません。試験に合格した後、業務補助や実務研修、最終的には修了考査をクリアすることで公認会計士として登録することができます。

税理士は、税金の支払いや申告、税務や会計業務を担当します。税理士試験に合格した後、会計関連の実務経験を2年以上積んだ後、日本税理士連合会に登録し、税理士として活動することができます。

両方の資格は取得が難しく、その分年収も高額になり得ます。特に大規模な企業では、より高度な業務を任され、年収1,000万円以上を目指すことも可能です。

年収1100万の人におすすめの節税対策

年収1,100万円超の所得を得る人におすすめの節税対策を紹介します。

  • 生命保険・地震保険料控除
  • iDeCo(イデコ)
  • 住宅ローン控除
  • ふるさと納税
  • 不動産投資

生命保険と地震保険控除

生命保険や地震保険に加入している場合は、所得から一定金額を控除できます。控除の手続きは、保険会社から送られてくる証明書を年末調整のときに提出するだけです。

保険の契約時期によって控除の限度額は決められています。

社会保険料控除の限度額

2011年の12月31日以前に契約した保険の場合

一般の生命保険料控除個人年金保険料控除介護医療保険料控除合計
所得税5万円5万円なし10万円
住民税3万5,000円3万5,000円なし7万円

2012年1月1日以降に契約した保険の場合

一般の生命保険料控除個人年金保険料控除介護医療保険料控除合計
所得税4万円4万円4万円12万円
住民税2万8,000円2万8,000円2万8,000円7万円

地震保険料控除の限度額

所得税最高5万円まで控除(保険料が5万円以下の場合は全額)
住民税保険料の1/2(最高2万5,000円)

例えば年間に一般生命保険料を18万円、医療保険料を18万円払っている場合は、控除額13万6,000円になります。所得税率20%として考えると、節税金額は約2万2,000円です。

iDeCo

iDeCoは自分で積み立てできる私的年金制度です。iDeCoで支払った金額の全てが控除の対象となります。

所得税は課税所得に所得税率をかけて算出されるため、年収が高ければ高いほどiDeCoの節税効果は高くなる、というわけです。

節税分は年末調整時に還付されます。住民税は直接還付されませんが、翌年の6月から毎月給与天引きされる住民税が安くなる仕組みです。

iDeCoは収益も非課税です。受け取るときも退職金や公的年金の税制が適用されるため、税金の負担が軽減されます。

住宅ローン控除

住宅ローン控除は、住宅ローンで家を購入した人が10年間もの間うけられる減税措置のことをいいます。

対象は土地と建物両方で、適用条件は異なるものの、新築と中古物件どちらも対象です。

住宅ローン減税に必要な手続きは最初の年の確定申告のみです。翌年からは勤め先に残高証明書などの必要書類を提出するのみで年末調整が完結します。

住宅ローン減税は年末時点の住宅ローン残債の0.7%が10年間控除される制度です。最大の控除金額は10年で400万円ですが、入居時期によって控除される金額は変わります。

ふるさと納税

「出典:総務省

ふるさと納税は、全国各地にある自治体の中から好きな自治体を選んで寄付することで、寄付金の控除が受けられる制度です。

自己負担額2,000円を除いた金額すべてが控除の対象で、所得税と住民税から還付されます。

寄付金が所得額から控除されるため、収める税金が抑えられる仕組みです。

自営業やフリーランスは確定申告が必要ですが、サラリーマンなど給与所得者かつ寄付金が年間5つの自治体以下の場合「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が適用されるため確定申告は不要になります。

不動産投資

不動産投資によって、主に以下の税金の節税が期待できます。

  • 所得税
  • 住民税
  • 相続税
  • 贈与税

不動産投資によって何故所得税や住民税を節税できるのでしょうか。その理由は不動産投資によってできた赤字を他の所得と相殺できる制度にあります。

所得税と住民税は所得額をもとに算出されており、所得が大きければ大きいほど減税効果も大きくなる仕組みです。

したがって、赤字を相殺することで課税金額を減らせる、ということになります。

給与所得と事業所得、不動産所得はすべて総合課税です。仮に給与所得の課税が多い場合でも不動産所得が赤字なら相殺によって課税対象金額を抑えることができます。

その他、計上できる経費が多いため、減価償却費が計上できるのも節税効果があるといわれている理由の一つです。

年収1100万の人の手取りに関するよくある質問

手取り年収はいくらになりますか?

年収1,100万円では、所得税や住民税などの税金が引かれた後の手取り金額は700万円〜800万円代です。年収にボーナスが含まれている場合、手取り金額はより少なくなります。

手取り年収を増やす方法は?

節税や余計な出費の見直し、資産形成が効果的です。

副業や転職で収入アップを狙うこともできますが、その際は、税金や労働条件をよく確認する必要があります。

まとめ:年収1100万の人は節税対策が必須

年収1,100万円超の年収を得ている人は、労働人口の数%です。一方、世帯年収は1割程度となっていますので、年収1,100万円を狙う場合は世帯で目指したほうが現実的かもしれません。

世帯年収1,100万円超のほうが納税額は少ないです。サラリーマンの場合、対応できる節税対策は限られますが、高額所得者は節税対策も忘れないようにしましょう。

目次