アパートローンと住宅ローンの違いや特徴を比較!併用や借り換えも解説

アパートローンと住宅ローンの違いや特徴を比較!併用や借り換えも解説

不動産を購入する際に使える代表的なローンとして、アパートローンと住宅ローンがあります。どちらも似たような名称ですが、両者はまったく異なる目的に利用されるものであることをご存知でしょうか。 

この記事では、アパートローンと住宅ローンの違いや特徴を比較しながら、併用・借り換えなどについて解説します。不動産購入を検討している方やアパート・マンション経営を考えている方はぜひ参考にしてください。 

目次

アパートローンとは 

アパートローンとは、アパートやマンションなどを、賃貸経営の目的で購入・建築する際に利用できるローンのことです。 

ワンルームマンション投資や、集合住宅を一棟まるごと購入する場合にも使えます。 

購入資金だけでなく、アパート・マンションの建築費、リフォーム資金、以前に借り入れたアパートローンの借り換え資金としても活用することができるなど幅広い用途に使えるローンです。 

多くの金融機関で取り扱いがあり、都市銀行、地方銀行、信用金庫、ノンバンクまでさまざまな条件で取り扱い商品が販売されています。 

基本的には満20歳以上の個人が融資対象ですが、条件によっては不動産管理会社が利用することもできます。 

住宅ローンとは 

「出典:フラット35

住宅ローンとは、借り入れる本人や家族が住むための住宅および付随する土地を購入する際に利用できるローンのことです。 

新築はもちろんのこと、中古住宅の購入や以前に借り入れた住宅ローンの借り換えなどにも活用できます。 

住宅ローンの借入先は数多くあり、大手銀行や地方銀行、信用金庫、ネット銀行などの金融機関、民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携して融資する「フラット35」などさまざまです。 

基本的には満20歳以上の個人が融資対象となります。 

アパートローンと住宅ローンの違い 

アパートローンと住宅ローンの大きな違いは、賃貸住宅経営のための不動産購入か自分や家族が住居するマイホーム購入かの目的面です。  

投資用がアパートローン、自宅用が住宅ローンと考えるとわかりやすいでしょう。 

またアパートローンと住宅ローンは共に金融機関の融資商品ですが、ローンの対象となる物件の性質が異なるため、返済原資や審査基準にも違いがあります。 

アパートローンの場合は、家賃収入が返済原資であり、基本的には家賃収入での返済が前提です。

加えて、空室の発生によって家賃収入が減少している場合は、自己資金による返済が必要ですので「本人の属性+物件の資産性・収益性」を総合的に見て判断されます。 

他方で住宅ローンの場合は、個人の収入が返済原資となりますので、基本的には毎月の給料から返済額を捻出します。

つまり、物件の資産性や収益性ではなく「借りた本人に返済能力があるかどうか」が重視されるため、本人の属性を裏付けとして融資が判断されるのです。 

アパートローン、住宅ローンの金利の違い 

アパートローンの金利は、多くの金融機関で1〜5%程度となっており、住宅ローンよりも高めに設定されています。 

なぜなら、住宅ローンに比べて返済が滞る可能性があり、金融機関にとってアパートローンの貸し出しはリスクが高いためです。 

住宅ローンの場合は、自分が住むことを前提に組まれており、返済への意識も高いと考えられていることから、投資が目的のアパートローンと比べて低い金利設定となっています。 

アパートローンと住宅ローンのメリット・デメリット 

アパートローンと住宅ローンは似て非なるものですので、それぞれのメリット・デメリットも当然異なります。 

両者のメリット・デメリットを見ていきましょう。  

アパートローンのメリット・デメリット 

アパートローンを利用するメリット・デメリットは以下のとおりです。 

メリット 

  • レバレッジを利かせられる 
  • 資金が少なくても不動産投資を始められる 

デメリット 

  • ローンを返済できないと物件を売却する必要がある 
  • 利息を支払わなければならない 

それぞれのメリット・デメリットについて解説します。 

メリット 

アパートローンの1つめのメリットは、レバレッジを効かせられる点です。 

レバレッジは、借入を利用することで、自己資金の収益を高める「テコの原理」のことをいいます。 

例えば、自己資金で1,000万円の物件を購入し、利回りが10%であれば年間の利益は100万円です。しかし、自己資金にアパートローン4,000万円を足して5,000万円の物件を購入した場合、利回りが同じ10%でも年間の収入は500万円になります。 

このように、アパートローンを利用すれば、レバレッジを大きく利かせられ、効率的な資産形成が実現可能となるのです。 

アパートローンの2つめのメリットは、資金が少なくても不動産投資を始められる点です。 

不動産投資には数千万円の資金が必要となり、自己資金のみで不動産投資を行おうとすると、資金を蓄えるだけで長い年月を要することになります。 

アパートローンを組む場合は、ある程度の頭金が必要とはなりますが、それでも現金一括で物件を購入するよりはるかに早く投資を始めることができます。 

デメリット 

アパートローンの1つめのデメリットは、ローンを返済できないと物件を売却する必要があることです。 

アパートローンに限った話ではありませんが、不動産担保ローンはすべて「返済ができなければ、ローン返済のために担保にしている物件を売却しなければならない」というリスクが内在しています。 

このようなリスクを回避するためには、ローンの支払い計画をしっかりと立て、適切な額の融資を受けることが大切です。 

アパートローンの2つめのデメリットは、利息を払わなければならないという点です。 

ローンでお金を借りる際には、元本以外にも利息の支払いが必要となります。 

借入額が高額で返済も長期にわたる場合、数パーセントの金利でも利息が高額になるため、注意が必要です。 

住宅ローンのメリット・デメリット 

住宅ローンには以下のようなメリット・デメリットがあります。 

メリット 

  • 手元の資金を残したまま持ち家を購入できる 
  • 住宅ローン控除による節税対策 

デメリット 

  • 支払い生活が長く続く 
  • 利息により返済総額が大きくなる 

それぞれのメリット・デメリットについて見ていきましょう。 

メリット 

アパートローンの最大のメリットは、手元に資金を残したまま持ち家を購入できることです。 

住宅は何千万円という高額な買い物になるので、現金一括で購入できる方は限られてきます。 

アパートローンを活用すれば手元にお金が残り、子供の教育や老後に備えたライフプランが立てられるというのは大きなメリットでしょう。  

アパートローンの2つめのメリットは、住宅ローン控除による節税対策です。 

住宅ローン控除は、所得税や住民税を差し引くことができる制度のことをいいます。 

一定の条件を満たせば、毎年の住宅ローン残高の0.7%が、入居時から最長13年間にわたって所得税や住民税の還付または控除を受けることができます。 

最新の制度内容については税務署等でご確認ください。 

デメリット 

アパートローンの最大のデメリットは、支払い生活が長期にわたって続くことでしょう。 

住宅ローンの返済期間は、多くの金融機関で最長35年に設定されています。 

例えば35歳で35年のローンを組んだ場合、完済年齢は70歳となり、定年後の年齢や体調などを考慮すると不安に感じられる方も多いでしょう。 

またアパートローンのデメリットでもお伝えしましたが、金利により返済総額が大きくなる点も住宅ローンのデメリットとして挙げられます。 

融資を受けるということは、当然ながら利子が発生することになりますので、繰上げ返済を利用して借入金を少しでも減らすなどの対策が有効であると考えられます。 

アパートローンと住宅ローンの併用・借り換えについて 

アパートローンと住宅ローンはそれぞれに違った性質を持つ金融商品ですが、基本的には両者の併用や借り換えは問題ありません。 

本章では、アパートローンと住宅ローンの併用・借り換えについて解説します。 

併用は問題ない 

住宅ローンを組んでいる状態で、アパートローンを組んで不動産投資を行うことは可能です。 

審査に通るかどうかは本人の返済能力や状況によりますが、住宅ローンを組んでいるからといってアパートローンは審査しないということはありません。 

貸し付ける金融機関側の目線で考えると、住宅ローンは借主の収入、アパートローンは事業収入と返済のための原資がまったく別であるため、併用することに問題はないとしています。 

借り換えも問題なし 

アパートローンから住宅ローンへの借り換えはできませんが、住宅ローンからアパートローンへ借り換えることは一般的ではないものの可能です。  

ローンをまとめて毎月の支払いを1回にまとめたり 、返済額を抑えたりする効果に期待が持てます。 

ただし、住宅ローンを借り換える際には違約金が発生する場合もあるため、借り換えを行う前に契約書面をしっかりと確認する必要があります。 

アパートローンと住宅ローンに関する注意点 

アパートローンや住宅ローンを利用する際に気をつけたいポイントは、以下の2点です。 

  • アパート購入に住宅ローンは活用できない 
  • 虚偽申告をおこなった場合はペナルティが与えられる 

それぞれの注意点について見ていきましょう。 

住宅ローンで購入した家を投資用にすることはできない 

住宅ローンの対象となるのは、本人がマイホームとして住むための住居用住宅です 。 

そのため、アパートやマンションでも、住宅ローンで購入した家を投資目的の物件として利用することはできません。 

もし住宅ローンで購入した家を賃貸利用してしまうと、契約違反となりますので注意が必要です。 

虚偽申告を行なった場合はペナルティが与えられる 

アパート経営の目的で偽って住宅ローンを組んだ場合、契約違反となり、住宅ローンを提供した金融機関からローン残債の一括返済が求められます。 

不正がバレてしまうと、一括で数千万円もの金額を支払うことになり、自己破産という最悪の結末を迎えてしまう可能性があります。 

また金融機関からの信用度も下がりますので、別の融資を受ける場合には審査が通りにくくなるといったデメリットも考えられるでしょう。 

住宅ローンのほうが金利が低く、金銭面でのメリットは大きいですが、間違えても投資用として利用しないようにしましょう。 

アパートローンと住宅ローンの違いまとめ 

この記事では、アパートローンと住宅ローンの違いや特徴、併用・借り換えなどについて解説しました。 

結論をまとめると以下のとおりです。 

  • アパートローンは主に不動産投資のためのローンで返済原資は家賃収入 
  • 住宅ローンは住居を取得するためのローンで返済原資は給与所得 
  • アパートローンよりも住宅ローンの方が金利は低く設定されている 
  • アパートローンと住宅ローンの併用、借り換えは問題ない 
  • 住宅ローンで購入した家を投資目的の物件として利用することはできない 

アパートローンと住宅ローンの目的や用途をしっかりと把握して、自分の目的に合ったローンで借り入れを行いましょう。 

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