「不動産投資で収益を挙げるために、ちょうど良い不動産投資ローンを探してみたものの、具体的な選び方がわからない」という人へ向けて、本記事では不動産投資ローンを積極的に提供している銀行を5つ、紹介しています。
その他、固定金利と変動金利の違いやメリットなど、詳しく説明していますので、気になる人はぜひ記事内容をご確認ください。
不動産投資ローンとは
不動産投資ローンの基本的な概念について、詳細を説明します。
- 住宅ローンとの違い
- 住宅ローンと不動産投資ローンは借入上限額も異なる
- 住宅ローンで投資用物件は購入できない
住宅ローンとの違い
住宅ローンとの違いは、使用目的です。住宅ローンは自分が住むため、または自宅の増改築を目的としてお金の借入を申請します。
一方不動産ローンは、最初から投資を目的として賃貸物件を購入する際に、借入を申し込むローンです。
返済に充てる資金の出どころが違う点もポイントの一つです。
住宅ローンは契約者の毎月の給与が返済の原資となりますが、不動産投資ローンは毎月回収する家賃が返済原資となります。
不動産投資ローンはあくまでも経営に対する貸付になるため、個人に十分な資産があったとしても、賃貸から得る収益を原資としなければいけません。
住宅ローンと不動産投資ローンは借入上限額も異なる
住宅ローンと不動産投資ローンでは、不動産投資ローンのほうが借入金額の上限が高く設定されています。
住宅ローンの借入上限金額は契約者の年収の5〜6倍です。本人の属性次第ではもっと借入できますが、それでも8倍が限度でしょう。
一方、不動産投資ローンはさまざまな要素が評価の対象になるため、契約者の属性しだいでは、融資上限額は年収の20倍にまでなることもよくあります。
金利の違いもよく認識しておきましょう。
住宅ローンは金利が年0.3〜2.0%程度なのに対し、不動産投資ローンは年1.2〜5.0%程度と高額です。
数%は誤差の範囲内にも見えますが、返済期間が長くなればなるほど返済額に数百万円、時には1,000万円以上の差が出ることもあります。
住宅ローンで投資用物件は購入できない
金融機関の規約によって、住宅ローンで借り入れたお金を投資用物件の購入に使えないことになっています。
投資用の物件が戸建てや借り入れが少額だったとしても変わりません。
中には最初から賃貸物件として貸し出すことを目的としながら「バレないだろう」という気持ちで住宅ローンを借り入れる人もいるかもしれません。
事実が金融機関に知られた場合、ローンの残金一括返済が求められます。問答無用で返済が求められるため、拒否のしようがありません。
最悪の事態に陥ることのないように、投資物件の資金調達の場合は始めから投資用物件ローンを申請しましょう。
不動産投資ローンの2種類の金利
変動金利と固定金利は金利の変動に違いがあります。借り入れを検討するときは、自身のリスク許容度や将来の支払い能力を考慮しなければいけません。
変動金利
変動金利は、金利が時間とともに変化するタイプの金利です。一般的には、市場金利や基準金利に連動して設定されます。
変動金利の場合、金利が上昇すれば支払う利息が増加し、金利が低下すれば支払う利息も減少します。
変動金利は、金利が低い時期には支払額が少なくなる可能性がありますが、金利が上昇すると支払額が増えるリスクがあります。
固定金利
固定金利は、契約時に設定された金利が借入期間中一定に保たれるタイプの金利です。
固定金利の場合、金利が上昇しても支払い額は変わらず、金利が下がっても支払い額は変わりません。
固定金利は、金利上昇のリスクを回避できますが、金利が低い時期には市場金利よりも高い金利を支払うことになります。
不動産投資ローンで変動金利を選ぶメリット・デメリット
変動金利を選択するメリットとデメリットについて説明します。
変動金利のメリット
変動金利のメリットは、当初の返済金額が固定金利よりも少ない点にあります。銀行によっては変動金利と固定金利の利率に2倍以上の開きがあるほどです。2倍近くの金利差があれば、毎月の返済額に数万円の差が生じるケースも考えられます。
長い間日本では低金利政策を取ってきましたが、今後の金利上昇の局面では変動金利のほうが負担に感じることもあるかもしれません。
変動金利のデメリット
変動金利のデメリットは、金利上昇の局面で毎月の返済金額が増加してしまうことです。
日本は長らく低金利政策をとっており、変動金利のメリットを享受できる状況でしたが、金利上昇を迎える今後は少し様子が変わるかもしれません。
急激な金利変動の影響を緩和するために、変動金利には「5年ルール」と「125%ルール」があります。「5年ルール」は、5年間は毎月の返済額が変わらないという決まりです。
125%ルールは、金利上昇時に次の5年間の返済額が前の返済額の125%までしか上がらないという決まりです。
救済策が設けられていると安心ですが、2つのルールによって、金利上昇時は返済時の支払利息が増えるため、元本返済の割合が少なくなる現象が発生しやすくなります。
つまり、「5年ルール」と「125%ルール」があると、金利が上がった際に元本部分の返済が後ろ倒しになるため、最終返済時に多額の返済を迫られる可能性がある、ということです。
金融機関によっては「5年ルール」と「125%ルール」を設けていないケースもあります。
変動金利を選択する時は、市場の動きをよく見極めたうえで決断するほうが良いでしょう。
不動産投資ローンで固定金利を選ぶメリット・デメリット
固定金利を選ぶメリットとデメリットについて説明します。
固定金利のメリット
固定金利のメリットは、住宅支出が想定外に上がるリスクを予防できる点にあります。
例えば子育て世代の場合、子どもの成長に伴って家計の支出は上がっていきます。
綿密な家計のキャッシュフロー表を作成したところで予定と現実のズレは埋めきれません。
思っていたよりも塾代が高いなど、想定外なことは当然にして起こり得ます。
その点、固定金利の住宅ローン返済金額は、想定外の事態はありません。ローン返済額が金利の上昇で上がってしまい、住宅支出が予想以上に高くなるリスクを回避できます。
固定金利のデメリット
固定金利のデメリットは、変動金利に比べて利率が高い点です。返済期間中に急激な利率の変化がなければ支払利息は固定金利のほうが多くなります。
また、固定金利でも当初固定金利タイプは、当初の期間が終わった時点で金利の更新があります。
そこで金利上昇のリスクがあるため、注意が必要です。引き下げ幅が小さくなるとさらに借入金利が上昇してしまうリスクも認識しておく必要があります。
固定金利をおすすめできる人
固定金利は将来支出が増える可能性が高い場合に向いています。
例えば住宅ローンの返済中に子どもが大学へ進学する場合、教育支出が増加するタイミングで住宅ローンの金利が上がるようなことがあれば、途端に生活は苦しくなるでしょう。
固定金利を選択すると金利上昇による支出増加は防げます。
当初固定金利タイプは期間を短縮する繰り上げ返済を考えている人や、借入期間を短く計画している人に向いています。
金利が低い当初期間の間に完済してしまえば支払い負担を抑えることができるためです。
不動産投資のローンを組むのにおすすめの銀行5選
不動産投資ローンの販売に積極的な銀行を5つ紹介します。
- オリックス銀行
- スルガ銀行
- りそな銀行
- セゾンファンデックス
- 三井住友トラストL&F
オリックス銀行
用途 | ・居住用賃貸用マンション・アパート ・一戸建て物件の購入、建築、建築用地購入、借り換え |
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融資できる年齢 | 20歳以上60歳未満で最終返済時は80歳未満 |
年収の要件 | 500万円以上で安定した収入が見込める人 |
融資金額 | 1,000万円以上2億円以下 |
借入利率 (2024年4月時点) | ・3年固定 2.3%〜3.3% ・5年固定 2.7%〜3.7% ・変動金利 2.67%〜3.675% |
借入期間 | 1年〜35年以内 |
備考 | ・基本的に首都圏及び近畿圏、名古屋市、福岡市の不動産が対象 ・首都圏と近畿圏は、東京・大阪の中心部まで、公共の交通機関(電車やバスなど)で東京は1.5時間、大阪で1時間以内に到着できるエリアに限定 ・オリックス銀行住宅ローンプラザに来社可能な方 ・マンションは専有面積40m2以上必要 |
オリックス銀行は、不動産投資に特化したオウンドメディア「manabu不動産投資」を運営しており、不動産投資事業への融資に積極的です。
区分マンション、一棟物件にかかわらず利用できます。基本的に提携の不動産会社を通じて利用する流れです。
スルガ銀行
用途 | ・資産形成、資産活用を目的とするアパートもしくは貸家や賃貸マンション(店舗・事務所などの併用物件含む) ・商業ビルやホテルなどの新築、増改築、購入または借り換え |
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融資できる年齢 | 借入時に20歳以上〜65歳未満の人 最終返済時は82歳未満 |
年収の要件 | 一定の資産背景を持つ人 |
融資金額 | 10億円以内 |
借入利率 | 要問合せ |
借入期間 | 1年以上35年以内 |
備考 | ・法人名義での借入も可 ・ほぼ全国対応可能 ・保証人不要 ・団体信用生命保険必須 ・審査が早く利用している人は多い |
スルガ銀行の不動産投資ローンは融資限度額10億円以上と、他の金融機関よりも高めに設定されています。借入利率の範囲が広いため他の金融機関よりも割高になる点に注意が必要です。
りそな銀行
用途 | ・一棟賃貸用住宅購入、新築、増改築、修理 ・区分マンション購入 ・借地上の賃貸用住宅の底地買い取り ・借り換え |
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融資できる年齢 | ・借入時20歳以上 ・団信加入の場合、借入時20歳以上70歳未満で、最終返済時80歳未満 ・満18歳、19歳は応相談 |
年収の要件 | おおよそ1,500万円以上 |
融資金額 | 100万円以上3億円以内 |
借入利率 (2024年4月時点) | 1%〜1.2%程度 |
借入期間 | 1年〜30年以内 |
備考 | ・支店エリア内の不動産が対象 ・個人向けアパートローンの他、賃貸併用住宅用アパートローン、資産管理会社名義用アパートローンあり ・個人向けは原則連帯保証人不要 |
都市銀行は基本的に不動産投資に消極的ですが、りそな銀行は積極的に不動産投資ローンを行っています。
りそな銀行が提供する不動産投資ローンの特徴は、個人事業主と法人それぞれに適した商品を展開している点です。
個人事業主向けは保証会社は必要ありません。
セゾンファンデックス
用途 | ・ワンルームや一棟物件の購入資金 ・築古や狭小物件、借地権付き建物などの物件でも借り入れできる可能性がある |
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融資できる年齢 | ・申込時満20歳以上70歳以下 ・完済時85歳未満 |
融資金額 | 100万円〜5億円 |
借入利率 | ・団体信用生命保険なしの場合変動金利 3.75%~4.55%(2023年7月時点) ・団体信用生命保険ありの場合変動金利 4.25%~5.15%(2023年7月時点) |
借入期間 | 5年〜30年 |
備考 | ・法人、個人事業主どちらも利用可能 ・共同担保があれば、フルローンも検討できる ・対応エリア首都圏…東京、神奈川、千葉、埼玉(公共交通機関で、東京中心部までの所要時間が約1.5時間以内のエリア) 近畿圏…大阪、兵庫、京都(公共交通機関で大阪中心部までの所要時間が1時間以内のエリア 愛知県、札幌市、仙台市、岡山市、広島市、福岡市、那覇市周辺 ※上記エリアでも対応不可の場合有り ※上記エリア内の不動産を担保にすれば、対応エリア外の不動産購入資金として利用できる場合有り |
ノンバンク系のセゾンファンデックスは、融資スピードの早さをアピールポイントとしています。申し込みから融資完了までの早さは仮審査なら最短即日、本審査なら最短3営業日です。
また、他の金融機関では融資が難しい物件でも融資できるケースもあります。
三井住友トラストL&F
用途 | ・賃貸目的用のアパート ・マンション等の購入・建築・増改築 ・既存不適格物価や築年数の経過した1棟アパートやマンションも借りられる可能性有り |
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融資できる年齢 | 団信ありの場合は最終完済時81歳未満 |
融資金額 | 3億円 |
借入利率 | ・団体信用生命保険なしの場合 2.90%~4.40% ・団体信用生命保険ありの場合 3.30%~4.80% |
借入期間 | 新築物件 6年以上35年以内中古物件 6年以上30年以内 |
備考 | ・連帯保証人原則不要 ・団信加入は任意(保険料銀行負担) ・他に事務所・店舗用アパートローン、法人向けアパートローンあり ・築古物件への融資実績あり |
三井住友トラストL&Fはノンバンク系金融会社です。幅広い層で融資を受け付けています。
勤続年数が浅い会社員の人や、開業したばかりの個人事業主、契約社員やパート社員も融資を申し込むことができます。
不動産投資ローンの審査をクリアするには
不動産投資ローンの審査を通すために気をつけたいポイントを3つ紹介します。
- 適正な投資物件を選ぶ
- 自己資金を多めに用意する
- 共同担保を差し入れる
適正な投資物件を選ぶ
法定耐用年数の残りが少ない物件は担保価値が下がるため、金融機関の審査が厳しくなりがちです。
築年数がネックとなっている場合、築浅物件を再検討する必要があります。法定耐用年数が長く残っていれば融資を受けられる期間が長くなり、毎月の返済額が抑えられるメリットもあります。
また、エリアの見直しも必要となる場合もあります。駅チカや都心部、人が集まりやすく生活しやすいなど、少しでも便利に暮らせる物件を検討してみましょう。
自己資金を多めに用意する
自己資金の比率を高めることによって、家賃収入に対する返済比率を抑えられるため、結果として審査に通りやすくなります。
通常、自己資金は物件価格の2割から3割必要ですが、審査に不安がある場合、もう少し増やしても良いでしょう。
頭金なしや、自己資金が少なめだった場合、返済計画に不安があると見られてしまいます。属性に不安がある場合、まずは不動産投資の前にお金をためることから始めましょう。
自己資金が多ければ多いほど、月々の返済にゆとりが生まれるため、審査に通りやすくなります。
共同担保を差し入れる
頭金が用意できない場合は、購入物件以外を担保にして信用を得る方法もあります。自宅や保有済みの収益物件を担保にして多額の不動産ローンを組むイメージです。
借入金額が大きくなりますので、より慎重な返済計画を立てましょう。
不動産投資ローンの金利でよくある質問
不動産投資ローンについてよくある質問を3つ、ピックアップしました。
- 自己資金少なめでローンを組むのは危険ですか?
- 自営業の場合、銀行からの融資は難しいでしょうか
- 不動産投資ローンを残したまま自分が死んだ場合、残債や物件はどうなりますか?
自己資金少なめでローンを組むのは危険ですか?
最初は自己資金が少なくてもかまいませんが、繰上返済をうまく利用して、負担を少しづつ減らしていくことをオススメします。
空室や滞納が長い間続くと毎月のローン返済額は全て自分が負うことになります。上手く運営できている間は良いのですが、賃料収入が思わしくない時でもローン返済は続いていくことをよく認識しておかなければいけません。
ローンの残債をできるだけ早めに減らすことを念頭において、アパート運営を行いましょう。
自営業の場合、銀行からの融資は難しいでしょうか
サラリーマンよりもローンを組みにくい傾向がありますが、可能性がないわけではありません。
確定申告三期分の提出を求められるなど、やや敷居は高めですが、安定した事業を展開していれば融資は可能です。
日本政策金融公庫は自営業の人でも審査に通りやすいのでおすすめです。
不動産投資ローンを残したまま自分が死んだ場合、残債や物件はどうなりますか?
契約者が死亡した場合、団体信用生命保険によってローンの残債は全て精算されて0円になります。
残された収益物件は基本的に遺族へ移譲されて運営は続きます。
不動産投資が家族を守る保険になる、と言われているのは団体信用生命保険があるためです。
投資用ローンと自宅購入のための住宅ローンとはどう違うのでしょうか
一般的に住宅ローンは債務者の返済意思が高いことから、投資用ローンに比べて審査基準は緩和されています。
その他、需要の高さも相まって、住宅用ローンの方が金利は低いです。
まとめ
不動産投資ローンには固定金利と変動金利があります。
いずれもメリットデメリットがあるため、ライフプランと生活背景によって選びましょう。
不動産投資ローンの審査をクリアするために、まずは頭金を多めに差し入れましょう。頭金が多ければ多いほど審査に通りやすくなります。
毎月の返済も楽になるため、最初の時点でできるだけ多くの頭金を入れたいところです。余裕があれば繰り上げ返済を活用して、残債をできるだけ早く減らすと後々楽になります。