不動産投資は自己資金なしでも可能かについてお伝えします。
まとまった資金がないと不動産投資はできない、と考えている方も多いのではないでしょうか。
不動産投資には、多額な自己資金が必要なイメージがありますよね。
自己資金なしでの不動産投資のメリット・デメリット、注意点などについて詳しく紹介します。
自己資金なしでも不動産投資は可能
自己資金なしでも不動産投資は可能です。
一般的には、物件価格の15%〜30%の自己資金を用意するとよいと言われています。
不動産投資における自己資金とは、不動産取得にかかる費用のうち自分で用意できる現金のことで、通常、頭金と諸費用に充てられます。
自己資金なしでも不動産投資を始めることはできますが、手持ち資金が全くない状態での不動産投資は非常にリスクが高いため、避けた方がよいでしょう。
自己資金なしでも個人の属性や不動産価値によっては、融資を受けられるケースもありますが、ある程度の手元資金は必要です。
不動産取得にかかる諸費用や売買契約締結の際に買主から売主に支払う手付金などは、現金での支払いが必要です。
手付金は、取引完了後に売買代金に充当されるため、頭金の一部でもあります。
諸費用は、物件価格の7%〜10%程度。諸費用は対象外のケースがほとんどのため、手元資金で賄います。
手元資金が全くない状態では、不動産投資で想定されるリスクに備えたり、家賃収入の減少によりローン返済を賄ったりができません。
十分な手持ち資金が確保されていれば、不動産取得に充てる自己資金なしでも不動産投資を始めることが可能。
自己資金なしでの不動産投資は、リスクに備えて手元資金を残したり、借入金でレバレッジを効かせたり、あえて融資を受けることでメリットを享受したい方が活用できる方法です。
手持ち資金が十分に確保できていて、自己資金をなるべく使いたくない方や手元に現金を残したい方にはおすすめですが、余剰資金が全くない方には危険な投資方法です。
自己資金なしで不動産投資をするメリット・デメリット
自己資金なしで不動産投資をするメリットとデメリットを紹介します。
メリット
自己資金なしで不動産投資をするメリットは、以下の通りです。
- 手元に資金を残せる
- 最大限のレバレッジ効果が期待できる
- 団体信用生命保険に加入できる
それぞれ詳しく解説します。
手元に資金を残せる
あえて自己資金を不動産購入に投入しないことで、手元に資金を残すことができます。
手元にある十分な資金でリスクに備えられるため、安定した賃貸経営につながるでしょう。
しかし自己資金を全く用意できない方は、手元に残せる資金がないためメリットにはなりません。
余剰資金が確保できている方のみのメリットです。
最大限のレバレッジ効果が期待できる
あえて自己資金なしのフルローンを選択することで、レバレッジを効かせることが可能です。
レバレッジ効果とは、小さな力で大きな効果をもたらす「テコの原理」を指します。
不動産投資におけるレバレッジ効果とは、他人資本の借入金によって投資効率を上げることで、自己資本に対する収益性を高められることです。
自己資金だけでの不動産投資と比較すると、借入金のみの場合は、最大限のレバレッジ効果が期待できるでしょう。
一方で、借入金のみでの不動産投資には、リスクも伴うため注意が必要です。
団体信用生命保険に加入できる
不動産投資ローンを組むことで、団体信用生命保険へ加入できます。
団体信用生命保険は、死亡や高度障害によってローン返済ができなくなった場合に、保険会社が残債を支払う仕組みです。
万が一の場合に、家族に無借金の不動産を残すことができるため、生命保険の代わりとしての効果も期待できるでしょう。
デメリット
自己資金なしで不動産投資をするデメリットは、以下の通りです。
- ローン金利が高くなりがち
- 資金不足に陥る可能性がある
- ローン審査が厳しい
- ローン返済の負担が大きくなる
それぞれ詳しく解説します。
ローン金利が高くなりがち
自己資金ありと比較すると、自己資金なしの場合は、ローン金利の設定が高くなりがちです。
フルローンでは、物件価格に占める借入割合が大きいため、金融機関にとっては返済が滞り債券を回収できなくなるリスクが高まります。
借入金総額が多かったり、返済期間が長期だったり、金融機関にとってはリスクが高いため、ローン金利が高く設定される傾向があります。
また、フルローンの場合は、一定期間物件価格を上回るオーバーローンの状態になるため注意しましょう。
オーバーローンは、借入金に対して物件価格が下回っている状態なので、物件を売却したとしてもローンを完済することができません。
手元資金を充当して完済できるケースもありますが、賃貸経営の悪化や余力資金がない場合は、売却したくてもできない恐れもあります。
資金不足に陥る可能性がある
手元資金が全くない状態での不動産投資では、資金不足になる可能性があります。
十分な手元資金がない場合、空室リスクや家賃滞納リスク、修繕リスクなど、不動産投資特有のリスクによる急な出費に対応できません。
入居者が見つからず空室になったり、家賃滞納が続いたり、家賃収入が減少もしくはゼロになる可能性もあります。
家賃収入が得られない場合では、毎月のローン返済を貯蓄や給与、資産などから賄う必要があります。
十分な手元資金がないと資金不足に陥り、最悪の場合、破綻する可能性もあるため注意が必要です。
ローン審査が厳しい
フルローンは金融機関にとって貸し倒れリスクが高いため、ローン審査が厳しいのが特徴です。
そのため、誰でも必ずフルローンを組めるというわけではありません。
個人の属性や不動産の担保価値、不動産投資の実績によって、ローンの可否は個別に判断されます。
フルローンでは、融資額が大きくなり返済期間も長期に及ぶため、債券が回収できなくなるリスクが高まります。
そのため現在は、多くの金融機関で自己資金なしの融資には積極的ではありません。
フルローンは組みにくい傾向があると言えるでしょう。
しかし、高い属性や高利回り物件、安定した収益が期待できる、資産価値が高い、不動産投資の成功実績が豊富など、条件を満たしている場合は、自己資金なしでもローンを組める可能性があります。
ローン返済の負担が大きくなる
自己資金なしでは借入金額が多くなるため、毎月のローン返済の負担が大きくなる傾向があります。
不動産取得にかかる費用をすべて借入金で賄うため、金利上昇の影響を受けやすく、返済利息が増大する可能性があります。
自己資金なしでは融資比率が高いため、家賃収入からローン返済や経費などを除くと、手元に現金が残りにくくなるので注意しましょう。
空室や家賃滞納、金利上昇、修繕費などによりキャッシュフローが悪化した場合、赤字になるケースもあります。
できるだけ多くの自己資金を用意したり、経費を削減したりすることが、キャッシュフローの改善に大きく影響します。
融資を受ける際には、シミュレーションで収支のバランスを確認することが重要なポイント。
リスクを含めて、無理のない範囲内で返済額を設定しましょう。
自己資金なしの不動産投資で成功する方法
自己資金なしの不動産投資で成功する方法は、以下の通りです。
- 資産価値の高い不動産を選ぶ
- 十分な手元資金を確保する
- 初期費用がかかる物件を避ける
それぞれ詳しく解説します。
資産価値の高い不動産を選ぶ
資産価値の高い不動産を選ぶことが重要です。
人口が増加傾向の人気エリアや駅、バス停から近く利便性が高い、コンビニ、スーパーマーケット、学校、病院などの充実した周辺施設、周辺環境が良好、築年数が浅いなど、不動産の資産価値を見極めるポイントはさまざま。
将来的にも安定した需要や収益が見込める不動産の資産価値は、高くなる傾向があります。
不動産を購入する際には、物件についてや入居者ニーズ、周辺のリサーチを徹底し、資産価値の高い不動産を見極めましょう。
十分な手元資金を確保する
十分な手元資金を確保していると、不動産投資の成功率が上がる可能性があります。
あえて自己資金を投入せずに不動産投資ローンを組むことで、手元に資金を残すことが可能。
不動産投資には、空室リスクや家賃滞納リスク、災害リスク、修繕リスクなど、想定されるさまざまなリスクがあるため、リスクに対する備えが重要です。
空室や家賃滞納によって家賃収入が減少もしくはゼロになったり、災害により被害を受けたり、急な費用が発生するケースがあります。
予定していた収益が得られない場合は、手元資金を毎月の返済に充てる必要があります。
十分な手元資金を確保することで、リスクに対して柔軟な対応ができるため、安定した賃貸経営につながるでしょう。
初期費用がかかる物件を避ける
購入直後にリフォームが必要になるなど、初期費用がかかる物件は避けた方がよいでしょう。
中古物件では、設備の取り替えや水回りのリフォームなど修繕により、購入直後に費用がかかるケースも少なくありません。
十分な手元資金を確保できていれば問題ありませんが、フルローンを組んでいる場合は、購入直後の修繕費が大きな負担になる可能性があります。
自己資金なしで不動産投資をする際のリスク・注意点
自己資金なしで不動産投資をする際のリスクと注意点は、以下の通りです。
- 信用情報に傷がついていないか確認
- 資金ショートの可能性
- リスクへの十分な備え
- 毎月の返済額は妥当か
それぞれ詳しく解説します。
信用情報に傷がついていないか確認する
信用情報に傷がついていないかを確認します。
信用情報とは、クレジットカードの使用履歴や借入状況、返済状況などを指します。
CICやJICCなどの信用情報機関への問い合わせで、信用情報の確認が可能。
支払いに遅延があったり、滞納が続いたり、信用情報に傷がついている場合は、返済能力がなく信用できない人物と判断され、融資が受けにくくなる可能性があります。
資金ショートの可能性がある
自己資金なしでの不動産投資は、資金ショートの可能性があります。
不動産投資では、ローンを確実に返済することが必須です。
自己資金なしでの不動産投資では、返済比率が高いためキャッシュフローを出しにくい、という特徴があります。
そのため、空室があったり、修繕費など急な出費が必要だったり、自己資金なしでは資金不足に陥る恐れがあります。
キャッシュフローとは、家賃収入からローン返済額や経費、税金などの支出を除いた、手元に残る現金。
返済比率とは、家賃収入に対するローン返済額の割合を示し、不動産投資におけるリスクを判断する指標のひとつです。
返済比率は、以下の式によって求められます。
返済比率(%)=毎月のローン返済額÷満室時の家賃収入
自己資金なしでの不動産投資では、返済比率が高くなるため、それに伴いキャッシュフロー悪化が懸念されるでしょう。
また、返済比率では満室時の家賃収入が想定されている点には注意が必要です。
空室によって想定されていた家賃収入が得られない可能性もあります。
一般的には、返済比率を50%以下に抑えると、資金ショートのリスクが低くなり安全だと言われています。
リスクへの十分な備え
不動産投資には、空室リスクや家賃滞納リスク、金利上昇リスクなど、さまざまなリスクがあります。
安定した賃貸経営のためにも、リスクへの十分な備えが必要です。
空室や家賃滞納によって家賃収入が減少もしくはゼロになったり、自然災害により修繕が必要になったり、急な出費にも対応できるように十分な手元資金があると安心でしょう。
自己資金なしの場合では、借入金が多くなるため、金利上昇による影響を受けやすい特徴があります。
金利上昇局面では、負担がさらに大きくなる可能性もあるため注意が必要です。
毎月の返済額は妥当か
シミュレーションで収支を把握して、毎月の返済額は妥当かを判断することが重要です。
フルローンでの不動産投資は、自己資金ありの場合と比較すると、借入金が多いため毎月の返済負担が大きくなる傾向があります。
ローン返済以外にも、空室リスクや修繕リスクなど、急な出費が必要になるケースもあるため十分な備えも必要です。
想定されるリスクも含んだシミュレーションによって、収支のバランスを確認し、無理のない範囲内で毎月の返済額を設定しましょう。
自己資金なしで不動産投資をする場合のよくある質問
自己資金なしで不動産投資をする場合のよくある質問を紹介します。
事前に疑問を解消できるため、不安の軽減につながるでしょう。
自己資金なしでも不動産投資を始めることはできますか?
自己資金なしでも不動産投資を始めることは可能です。
しかし、全く資金がなくても不動産投資ができるという意味ではありません。
不動産取得に充当する自己資金以外の諸費用や手付金、リスクに備えた手元資金は必要です。
不動産取得にかかる費用を全額借入金で賄うフルローンを組む場合でも、諸費用は融資対象外のケースがほとんど。
諸費用も融資対象の金融機関も一部ありますが、多くの場合は現金で支払う必要があります。
通常、物件価格の7%〜10%だと言われている諸費用。
自己資金なしでも不動産投資はできますが、手元資金が全くない方には不向きです。
手元に資金を残したい方や最大限のレバレッジ効果を得たい方、自己資金なしでの不動産投資のメリットを享受したい方など、余剰資金が確保できている方向けの投資方法です。
あえて自己資金なしでの不動産投資を選択できる投資家が、活用するとよいでしょう。
フルローンのデメリットを教えてください。
フルローンを組む場合のデメリットは、不動産取得にかかる費用全額を借入金で賄うため、毎月の返済額が大きくなることです。
すべてを借入金で賄うため、金利上昇の影響を受けやすくなり、返済利息が増えることで毎月の返済額が増加する可能性もあります。
自己資金ありと比較すると、ローン金利が高く設定されたり、審査が厳しかったり、誰でも必ずフルローンを組めるというわけではありません。
しかし、個人の属性や不動産の担保価値が高いなど、金融機関の厳しい審査をクリアできる方もいるため、個別の判断が必要です。
不動産投資は自己資金なしでもできる?まとめ
不動産投資は自己資金なしでもできる?についてまとめると、以下の通りです。
- 自己資金なしでも不動産投資は可能
- メリット・デメリットを紹介
- 成功する方法を紹介
- リスクと注意点を紹介
- よくある質問を紹介
自己資金なしでも不動産投資は可能。
しかし、手元資金が全くない状態で不動産投資を始めるのは非常に危険です。
誰でもフルローンを組めるわけではなく、金融機関の厳しい審査を通過できる方のみ融資を受けられます。
フルローンでの不動産投資を検討している方は、メリットとデメリットの両方を理解して、十分な手元資金が確保できてから始めるとよいでしょう。