不動産投資の自己資金についてお伝えします。
不動産投資には多額な資金が必要なため、自己資金が少なくてなかなか始められないという方も多いのではないでしょうか。
どのくらいの自己資金が必要なのか、分かりませんよね。
不動産投資の自己資金はいくら必要なのか、自己資金が必要な理由や不動産投資の金額目安と一緒に詳しく紹介します。
不動産投資における自己資金とは?
不動産投資における自己資金とは、自分が用意できる現金です。
似たような意味で使われる自己資金と頭金ですが、それぞれが指すものには違いがあります。
自己資金と頭金の違いについて、詳しく解説します。
自己資金と頭金の違い
不動産投資における自己資金とは、不動産取得にかかる費用のうち、貯蓄や資産、給料から自分が用意できる現金のことです。
通常、自己資金は、頭金と諸費用に充てられます。
自己資金=頭金+諸費用
頭金とは、不動産価格からローン借入額を除いた金額を指します。
例えば、3,000万円の不動産を取得するために、2,500万円のローンを組んだ場合の頭金は、500万円です。
不動産価格に充てるために自分で用意した現金を頭金と呼び、頭金は自己資金の一部です。
不動産価格の10%〜20%程度の頭金を準備するのが一般的。
自己資金に含まれる諸費用には、不動産会社への仲介手数料や不動産取得税、登録免許税、印紙代、司法書士報酬、火災保険料、地震保険料、ローン事務手数料、保証料などがあり、不動産価格の7%〜10%程度が諸費用の目安です。
不動産投資の自己資金はいくら必要?
不動産投資の自己資金は、不動産取得にかかる費用の15%〜30%程度を用意するのが一般的です。
自己資金が必要な理由
自己資金が必要な理由は、以下の通りです。
- 毎月の返済額を抑えられる
- レバレッジ効果が期待できる
- ローン審査に通りやすくなる
- リスクに備えられる
それぞれ詳しく解説します。
毎月の返済額を抑えられる
不動産取得の際に自己資金を充当することで、借入金を減らせるため、毎月の返済額が抑えられます。
家賃収入に対しての返済比率を低減させられるため、負担軽減につながるでしょう。
レバレッジ効果が期待できる
自己資金を充当することで、レバレッジ効果が期待できます。
レバレッジ効果とは、小さな力で大きな効果をもたらす「テコの原理」を指します。
不動産投資におけるレバレッジ効果とは、他人資本である借入金を活用して投資効率を上げることで、自己資本に対する収益性を高めることです。
自己資金と借入金を併用することで、利益の最大化が期待できるでしょう。
しかし、ローン金利が上がったり、物件の利回りが低かったり、収益性が低下する逆レバレッジになる可能性もあるため、注意が必要です。
ローン審査に通りやすくなる
自己資金があると、不動産投資ローンの審査に通りやすくなる可能性があります。
個人の属性や不動産の担保価値、不動産投資実績など、金融機関はさまざまな要素を考慮して、融資の可否を判断します。
個人の属性とは、年収や職業、勤続年数、役職、自己資産、家族構成、借入状況などを指し、自己資金があると、お金の管理能力に優れていて計画性がある人物という印象を与えられるでしょう。
自己資金なしの場合と比較すると、自己資金がある方がローン審査に通りやすい傾向があります。
リスクに備えられる
頭金や諸費用に充てる以外にも、手元に資金を残しておくことで、空室リスクや家賃滞納リスク、災害リスク、修繕リスクなどの不動産投資特有のリスクに対応できます。
空室によって家賃収入が減少したり、災害により被害を受けたり、ローン返済や修繕費を自己資金で賄うケースもあるでしょう。
手元に資金があれば、急な出費にも柔軟に対応できるため、安定した賃貸経営につながります。
不動産投資の種類
不動産投資の主な種類は、以下の通りです。
- 区分マンション投資
- 戸建て投資
- 一棟アパート、マンション投資
- REIT
- 不動産クラウドファンディング
- 不動産小口化商品
それぞれ詳しく解説します。
区分マンション投資
区分マンション投資は、マンションの一室を購入し賃貸物件として貸し出すことで、家賃収入を得たり、売却益を得たりする投資方法です。
立地や築年数、間取り、面積などによって、物件価格や初期費用は異なります。
区分マンション投資は、数百万円〜数千万円程度の費用が必要になりますが、一棟投資と比較すると初期費用が抑えられるため、初心者でも始めやすくサラリーマンの副業としても人気を集めています。
戸建て投資
戸建て住宅を購入して、賃貸物件として貸し出すことで家賃収入を得る方法です。
戸建て物件は、新築から築年数が経過した中古物件までさまざまです。
築古物件など数百万円程度で購入できる物件もあるため、必ずしもローンを組む必要はありません。
物件を売却して、利益を得ることも可能です。
一棟アパート・マンション投資
アパートやマンションを一棟購入して、賃貸物件として貸し出すことで家賃収入を得る方法です。
一棟ごと購入するため、数千万円〜数億円単位の多額な資金が必要です。
不動産投資ローンを組むには、高い属性や不動産投資の実績などが必要なため、ハードルが高い投資方法だと言えるでしょう。
物件のエリアや立地などから、将来的にも安定した需要が期待できる物件を選ぶことがポイントです。
物件を購入する際には、コンビニやスーパーマーケット、商業施設、学校、病院などの周辺施設や周辺環境のリサーチを徹底することも重要です。
REIT
REITとは、不動産を投資対象とした投資信託です。
複数の投資家からの出資金で、プロが不動産を購入・運用します。
不動産運用で得られた収益や売却益を、口数に応じて投資家に分配する仕組みです。
REITは証券取引所に上場しているため、リアルタイムでの取引が可能。
株式と同様に取引できる、流動性の高さが魅力です。
一般的な不動産投資と異なり、現物の不動産を所有する必要がないため、運用や管理の手間がかかりません。
5万円程度の少額から投資可能なため、初心者も始めやすい不動産投資方法のひとつです。
不動産クラウドファンディング
不動産投資クラウドファンディングとは、不動産への投資を目的としたクラウドファンディングを指します。
インターネット経由で、不特定多数の投資家から資金を調達する仕組みのクラウドファンディング。
1万円程度からでも不動産投資ができたり、スマホで気軽に始められたり、人気の投資方法です。
不動産小口化商品
不動産小口化商品とは、不動産を小口化して複数の投資家に販売する仕組みです。
不動産小口化商品には、一口数万円程度の匿名組合型と、一口100万円程度からの任意組合型の2種類があり、不動産運用で得られた家賃収入や売却益は、口数に応じて投資家に分配されます。
不動産を複数の投資家とシェアするため、不動産を担保にした不動産投資ローンを組むことができません。
そのため、不動産小口化商品の購入は、自己資金で賄う必要があります。
自己資金別の不動産投資の金額目安
不動産投資の金額目安は、以下の式で求められます。
不動産投資の金額目安=自己資金÷(15%もしくは30%)
自己資金額によって、取得できる物件価格は異なります。
他にも、個人の属性や不動産の担保価値、不動産投資の実績によっても借入金の上限は変動します。
一般的には、不動産取得にかかる金額の15%〜30%を準備するのが良いと言われている自己資金。
一概にいくら必要という明確な金額が決まっているわけではありません。
ここでは大まかな目安として、自己資金別の不動産投資の金額を紹介します。
自己資金100万円
個人の属性などによっても異なりますが、自己資金が100万円の場合は、300万円〜600万円程度が不動産投資の目安になります。
中古区分マンションや築古戸建てへの投資が可能な金額です。
自己資金のみで、REITや不動産投資クラウドファンディング、不動産小口化商品など、少額からでも不動産投資ができる商品を購入してもよいでしょう。
自己資金500万円
自己資金が500万円の場合、不動産投資の目安は1,600万円〜3,300万円程度。
中古区分マンションや新築・中古戸建て、中古一棟アパートなどを購入できる可能性があります。
自己資金1,000万円
自己資金を1,000万円用意できる方は、3,300万円〜6,600万円程度が不動産投資の目安です。
新築や中古の区分マンション、戸建て、一棟アパートなど、借入金額の上限が上がるため、購入できる不動産の選択肢が広がります。
自己資金3,000万円
3,000万円程度の自己資金がある方は、1億円〜2億円の物件を購入できる可能性があります。
新築や中古の一棟アパート、中古一棟マンションなど、高額不動産の購入も期待できるでしょう。
不動産投資ローンを組む場合、金融機関は自己資金が多いほどリスクが低いと判断するため、融資上限額が引き上げられる傾向があります。
しかし、自己資金の他にも、個人の属性や不動産投資の実績、不動産の担保価値など、さまざまな要素によって借入金額が異なるため、個別の判断が必要です。
また不動産購入に必要な頭金と諸費用の他にも、手持ちの資金を準備することも重要なポイント。
空室リスクや家賃滞納リスク、災害リスク、修繕リスクなどの不動産投資特有のリスクに備えることが大切です。
空室によって家賃収入が減少もしくはゼロになったり、入居者の家賃滞納が続いたり、修繕が必要など、手持ちの資金がないとリスクに対応できず、返済が滞る恐れもあるため注意が必要です。
毎月の返済を自己資金で賄うケースもあるため、手持ち資金を準備すると安心でしょう。
自己資金を抑えて不動産投資を始める方法
自己資金を抑えて不動産投資を始める方法は、以下の通りです。
- 資産価値が高い不動産に投資する
- 個人の属性を高める
- 少額でできる不動産投資を始める
それぞれ詳しく解説します。
資産価値が高い不動産に投資する
資産価値が高い不動産に投資すると、自己資金を抑えられる可能性があります。
人気エリアや駅、バス停から近い、コンビニ、スーパー、病院、学校などの周辺施設が充実している、周辺環境が良い、築年数が浅いなどのポイントを押さえて、将来的にも安定した収益が見込める不動産を選びましょう。
安定した需要や収益が見込める不動産の資産価値は、高くなる傾向があります。
資産価値の高い不動産を担保にすることで、借入金を増やせれば、自己資金を抑えることも可能です。
個人の属性を高める
個人の属性を高めることで、審査に通りやすくなり、自己資金を抑えて不動産投資を始められる可能性があります。
職業や年収、役職、資産、借入状況など、さまざまな要素を考慮して、金融機関は借主の返済能力を見極めます。
個人の属性が高ければ、自己資金が少なくても審査を通過できる可能性もあるでしょう。
一般的にローンが通りやすい年収の目安は500万円以上、年収700万円以上は高属性と呼ばれ、融資を受けやすくなると言われています。
少額でできる不動産投資を始める
自己資金を抑えたい方は、少額からできる不動産投資を選ぶとよいでしょう。
REITは5万円程度から、不動産クラウドファンディングは1万円程度から、それぞれ少額で始められます。
不動産の運用や管理の手間もかかりませんので、気軽に始められる人気の不動産投資方法です。
不動産投資の自己資金に関するよくある質問
不動産投資の自己資金に関するよくある質問を紹介します。
不動産投資を始める前に疑問を解消できるため、安心につながるでしょう。
自己資金ゼロでも不動産投資は可能?
一般的には、不動産購入にかかる費用のうち、15%〜30%の自己資金を用意するのがよいと言われていますが、自己資金ゼロでも不動産投資は可能です。
個人の属性や不動産の資産価値でも異なりますが、金融機関によっては、頭金なしでも融資を受けられる「フルローン」を組むことも可能です。
フルローンの場合は、毎月の返済額の負担が大きくなるケースもあるため、無理のない範囲で返済額を設定しましょう。
金利上昇によって、ローン返済中に毎月の返済額が増える可能性もあるため注意が必要。
現在多くの金融機関では、自己資金なしでの融資は慎重になりつつあるため、ローンは組みにくいと言えます。
また、通常現金で用意する諸費用も一部の金融機関では、ローンで借りられます。
自己資金なしでローンを組む場合は一定期間、物件価値を超えるローン残債を抱えるオーバーローンの状態になるため、物件を売却したとしてもローンを完済することはできません。
空室リスクや滞納リスク、災害リスク、修繕リスクなど、不動産投資には複数のリスクが存在します。
入居者が決まらず空室が続くと家賃収入が減少もしくはゼロになったり、入居者の家賃滞納が発生したり、毎月の返済が滞る可能性もあります。
毎月の返済を自己資金で賄う必要があるため、手持ち資金がゼロではリスクに対応できません。
資金不足に陥る可能性もあるため、自己資金の準備が重要。
不動産投資を始める場合には、自己資金を貯めてから始めるのが賢明です。
自己資金なしでの不動産投資は、現金を手元に残したり、レバレッジ効果を得たり、十分な資金が確保されていて、自己資金を充当しないメリットを享受したい投資家が活用するとよいでしょう。
自己資金が多いほど不動産投資で成功しやすい?
一概に、自己資金が多いほど不動産投資で成功しやすいとは言えません。
用意できる現金の多くを頭金に充てると、毎月の返済による負担は軽減されます。
しかし、不動産投資では自己資金と借入金を併用することで、レバレッジ効果が期待できます。
そのため、投資スタイルや投資目的によっては、自己資金を最小限にして融資を受けることも可能。
不動産投資ローンを組むことで、レバレッジ効果が期待できたり、手元に現金を残せたり、団体生命保険に加入できるなどのメリットがあります。
それぞれのリスク許容度の範囲内で、自己資金と借入金のバランスをとることが重要です。
まとめ
この記事では、不動産投資の自己資金についてお伝えしました。
不動産投資における自己資金とは、自分で用意できる現金を指し、不動産購入に必要な費用の15%〜30%程度用意するのがよいと言われています。
自己資金を用意することで、レバレッジ効果を得られたり、毎月の返済額を抑えられたり、ローンの審査に通りやすくなる可能性があります。
リスクが高いため、自己資金ゼロでの不動産投資はおすすめできません。
ある程度の自己資金は必要ですが、用意できない方は、少額からでも始められるREITや不動産クラウドファンディングなどを利用するのもよいでしょう。
リスクを抑えるためにも、ある程度の自己資金を貯めてから、不動産投資を始めてくださいね。