2,000万円の資金が手元にある場合、どのような不動産投資が適しているでしょうか?
2,000万という金額なら大規模な投資も可能となり、選択肢も広がるでしょう。
この記事では、2,000万円の資金を活かして不動産投資を始める際に、最適な投資戦略や重要なポイント、留意すべき事項などについて詳細に解説しています。ぜひ、最後までご一読ください。
自己資金2000万円で不動産投資はできる?
自己資金2,000万円あれば、もちろん不動産投資はできます。できると言える根拠を次の項目に従って、解説していきます。
- 不動産投資における自己資金とは?
- 自己資金2,000万円ならではのメリットとは?
不動産投資における自己資金とは?
不動産投資を始める際の自己資金は、主にローンの頭金と初期に発生する諸費用に使われる金額です。購入する物件の種類によって異なりますが、物件価格の2割ほどを自己資金として確保すれば安心です。
自己資金2,000万円を不動産投資に充てることで、利用可能な銀行が増え、有利な条件で融資を受けることができるようになります。
例えば、地方銀行での融資を受ける場合、金利が低く抑えられます。他の投資では融資を活用することが難しい中、不動産投資ならばこの利点を享受できると言えるでしょう。
自己資金2000万円で収益を最大化できる?
不動産投資を始める際、全ての投資家が自己資金を15~30%用意する必要はありません。自己資金100%でスタートする方もいれば、逆に自己資金が15%以下の方もいます。
仮に、自己資金2,000万円で2,000万円の物件を購入した場合と、自己資金2,000万円に銀行融資1億8,000万円を加えて2億円の物件を購入した場合を図で比較してみると、以下のようになります。(経費率20%、返済は元利均等で年利1.5%)
自己資金のみ | 自己資金+融資 | |
---|---|---|
物件価格 | 2,000万円 | 2億円 |
自己資金 | 2,000万円 | 2,000万円 |
借入金 | 0円 | 1億8,000万円 |
年間の家賃収入 | 200万円 | 2,000万円 |
年間収益 | 160万円 | 1,600万円 |
返済 | 0円 | 730万円 |
キャッシュフロー | 160万円 | 870万円 |
手元に残るキャッシュフローが160万円から870万円と約5倍に増加していることが分かります。
投資に充てる額が増えると、それに伴ってリターンとしての利益も増加する傾向があります。自己資金が2,000万円以上あることは、融資条件が変化する上での最も大きな魅力点と言えるでしょう。
自己資金2000万円から始められる不動産投資の種類
自己資金が2,000万円から始められる投資可能な投資には一体どのような物があるでしょうか?
こちらでは、不動産投資の種類をいくつかご紹介します。
- 区分マンション
- 戸建て
- 一棟アパート
- 一棟マンション
- 収益ビル
それぞれの特徴を見てきましょう。
区分マンション
区分マンションは、マンションの個々の部屋を単位として購入し、それを賃貸して収益を得る投資です。アパートでは通常、部屋単位での取引が少ないため、主にマンションが対象となります。
物件価格は数百万円から億を超える高額まで幅広く、一棟買いよりも低額から始めることができます。物件数が多いため、不動産投資初心者に適しており、売却が比較的容易なのも魅力の一つです。
戸建て
一戸建て住宅を所有し、入居者から家賃収入を得る投資手法です。戸建て住宅には転勤者などに強い需要があります。
土地所有がありつつ、一棟のアパートを建設するには不向きな場合に適しているでしょう。アパートに比べて物件数が限られているため、競合が少ないという特徴があります。
一棟アパート
一棟アパートとは、アパートを一棟まるごと購入して賃貸経営します。建物ごとに部屋数が異なり、既に土地を所有している投資家にとっては、土地代がかからないため適していると言えるでしょう。
新築だけでなく中古物件も存在しますが、良い物件を見極めることが難しいため、未経験者にとってはハードルが高いと言えるでしょう。
また、一棟アパートは複数の部屋があるため、家賃収入がゼロになる可能性が低く、高い利回りを期待できる点がメリットです。
また、収益に合わせて、修繕のための資金を柔軟に積み立てたり、実施したりできるため、管理が得意な人に適しています。
一棟マンション
こちらも一棟のマンションを丸ごと所有して、その賃貸収益を得る投資になります。投資額は広範で、自己資金が2,000万円あれば非常に高額なマンションを所有することも可能です。
土地を所有している場合、借り入れがあっても建物の分だけで済むため、安定的な不動産物件の運用が期待できます。中古のマンションも市場には存在しますが、未経験者にとってはハードルが高いと言えるでしょう。
自己資金が少ないとローン金利が上がってしまう可能性はありますが、自分が投じることができる資産の中から、無理なく払える範囲で自己資金を設定するようにしましょう。
収益ビル
収益ビルは、大通りに面した土地を所有している方には最適な投資です。収益ビルの特徴は、企業のオフィスや飲食店、衣料品店、医療機関などがテナントとなることです。
賃貸住宅経営とは異なり、商業の場として機能するため、賃料やテナント入れにおいて大きな影響を受けます。
テナントの誘致は住宅よりも難しく、空室期間が長引くと家賃収入が得られず、借り入れたローンの返済が厳しくなる可能性があります。ビル経営は高い賃料を得られる反面、発生する費用も多いことを認識しておくことが肝要です。
自己資金2000万円で不動産投資を始める方法
2,000万円の自己資金を活かして不動産投資を始める際の3つの手順を以下にまとめました。
- 不動産について学ぶ
- 信頼できる不動産会社を見つける
- 物件の調査を行う
方法①不動産について学ぶ
不動産投資を知識不足のまま進めると、思わぬ損失を招く可能性があります。手順をスムーズに進めるためには、不動産に関する知識や専門用語を習得することが重要です。
まずはインターネットで基本を理解しましょう。その後、プロが関与している不動産投資に焦点を当てた書籍やセミナーから学ぶことで、不動産投資に対する理解が深まります。
方法②信頼できる不動産会社を見つける
次に、投資用の不動産を提供している信頼性のある会社を見つけていきましょう。近年の主流は、大手不動産サイトや専門の投資家向けサイトを活用することです。
これらのプラットフォームでは、全国各地の投資物件が数多く紹介されています。また、不動産会社に直接依頼して物件を探す方法も選択肢として挙げられます。
方法③物件の調査を行う
希望する不動産を見つけたら、物件調査は絶対に欠かせません。この調査では、建物の状態や周辺環境、競合物件の有無などを詳細に調べます。
できれば、現地を訪れてネットからでは把握できない情報を直接確認することが望ましいです。
方法④融資を受けて不動産を取得する
不動産の購入を決定したら、次は売買契約の締結に向けて手続きを進めます。ローンの融資が確定すると、契約金額を支払います。
支払いと同時に不動産の登記移転手続きが行われ、物件の取得が完了です。
また、不動産ローン契約者は団体信用生命保険(団信)に加入し、不測の事故に備えることができます。住宅ローンで既に「団体信用生命保険」に加入していても、不動産投資ローンを組む際に新たに団体信用生命保険に加入できます。
自己資金2000万円の元手でどこまで増やせる?
不動産投資においては、レバレッジ効果が存在し、小額の資金を活用してより大きな投資リターンを得ることを指します。
自己資金に金融機関からの借入金をプラスして投資の資金とし、これにより大規模な家賃収入を目指すこともできるでしょう。
自己資金が2,000万円ある場合、どれだけ増やせるかという視点から、以下の2つについて説明していきます。
- 自己資金2,000万円のみで投資する場合
- 自己資金に1億8,000万円の融資を受けて投資する場合
それでは、さっそく見ていきましょう。
自己資金2000万円のみで投資する場合
自己資金2,000万円だけを活用して投資する場合、最大で2,000万円の物件を購入し、利回りが6%であると仮定すると、以下の計算になります。(経費などは考慮せず)
【計算式】物件価格2,000万円 × 6% = 120万円
利回りが5%の場合、年間収益は100万円に相当します。
自己資金に1億8,000万円の融資を受けて投資する場合
自己資金の2,000万円に加え、金融機関からの融資金1億8,000万円を受けると仮定します。これにより、取得できる物件価格の上限は2億円まで拡大するでしょう。
例えば、借入金の金利が2%、借入期間が35年の元利均等返済を行った場合、年間の元利金返済額は約610万円となります。先程と同じ様に利回りが6%の場合の計算式は以下の通りです。
【計算式】=物件価格2億円 × 6% - 年間元利金返済額720万円 =480万円
レバレッジ効果を最大限活用することで、同じ2,000万円の自己資金でも収益を大幅に増やすことができることがわかります。
自己資金2000万円で行う物件選びのポイント
不動産投資で成功するためには物件の選択が極めて重要です。ここでは、自己資金2,000万円がある場合、入居者にとって魅力的な物件を見極めるために必要な要素やポイントに焦点を当てて解説していきます。
- 新耐震基準に準拠した物件を選ぶ
- 地盤が弱い物件は絶対に避ける
- 人が住んでいない地域の不動産は絶対に購入しない
新耐震基準に準拠した物件を選ぶ
建物の耐震性は重要で、1981年6月以降に導入された新耐震基準が適用された物件を選ぶことがポイントです。建物の耐用年数は一般的に50年ですが、賃貸収益が得られる期間はそれ以内になります。
物件選びの際には、築年数が古くても35年以内の物件を優先的に考えましょう。
築浅の物件は長期にわたり収益が得られる一方で初期費用が高額、築古の物件はその逆となります。バランスを考慮して、うまく物件を選ぶことが重要です。
地盤が弱い物件は絶対に避ける
地盤が弱い場所に建つ物件は、建物が傾き液状化現象が発生する可能性が高まります。さらに、大規模な地震が発生すると、土地ごと崩れるリスクも考えられます。
物件の傾きは水平器で測定するか、床にビー玉を転がして確認ができるでしょう。
過去に田畑や湿地帯であった土地や周辺に傾いた電柱がある場合は、慎重になるべきです。建物が傾くと修復には膨大な費用がかかり、傾いたままの住居は入居者の健康にも影響を与える可能性があります。
また、売却時の評価も低くなるため注意しましょう。
人が住んでいない地域の不動産は絶対に購入しない
人がほとんど住んでおらず、商店が徒歩圏内にない不便な地域では賃貸需要が低く、空室リスクが高まります。そのため、絶対に購入しないようにしましょう。
人口は少なくとも5万人以上、できれば10万人以上の市街化区域の町で物件を検討することをおすすめします。
また、賃貸の戸建ての入居者は主に子供のいる家族なので、学区が重要な要素となります。戸建ての入居者が妥協するのは駅からの距離ではなく、環境や施設が整っているかどうかです。
マンション投資と異なり、駅からのアクセスが求められるとは限りません。家族が住みたいと思える魅力的な立地かどうかを検討することが重要です。
自己資金2000万円で不動産投資する際の注意点
自己資金2,000万円で不動産投資をする際の注意点として、以下の2つがあります。
- 高利回りの物件
- 物件価格が相場より安価
高利回りの物件
高利回りの物件と聞いて悪いイメージを持つ人は少ないですが、潜むリスクも見逃せません。典型的なリスク要因には、設備の不具合や将来的な大規模修繕の必要性、周辺環境の悪さによる入居者集まりの難しさなどが挙げられます。
高い賃料設定が妥当な例としては、周辺の物件よりも優れた設備やサービスを提供している場合に限ってあります。例えば、リノベーションが施さている、またはコンシェルジュがいる物件などがこれに当たります。
逆に慎重になるべきは、他の物件よりも賃料相場が高く、かつ入居者が長期滞在している場合です。
また、法人が借り上げている社宅として利用されている場合、入居者が退去した際に賃料が下がったり、築年数が経過して減価償却が難しくなったり、古い設備の修繕に多額の費用がかかる可能性があります。
高利回りの物件に投資する前に、なぜその物件が高い利回りを示しているのかを徹底的に分析し、見えないリスクを明らかにすることが不可欠です。
物件価格が相場より安価
次に、物件価格が相場よりも安い場合に注意が必要です。
特に前所有者の売却経緯が重要なポイントとなります。例えば、売主が個人的な事情で急いで売却したい場合、物件を割安で仕入れることができます。
ただし、価格が安いだけで物件の状態が悪く、空室が目立つような課題を抱える場合は、オーナーがすぐに手放したがる傾向にあり、その分安価に売りに出されることがあるでしょう。これらの物件は投資リスクが高いため、厳重な注意が必要です。
一般的に、不動産業者が割安で利回りが著しく高い限られた優良物件を、どのようにお客様に提案するかも考慮する必要があります。そして、こうした物件を新規のお客に提案することは非常に稀であると考えられます。
自身の物件に対する主観的な評価に惑わされず、冷静に判断し、リスクを見極めることが重要です。
自己資金2000万円の不動産投資に関するよくある質問
ここからは、自己資金2,000万円の不動産投資に関するよくある質問を3つご紹介します。
- 不動産投資のローンを組む際に必要な自己資金の金額はどれくらいですか?
- 「利回り」という言葉はよく耳にしますが、具体的には何を指しているのでしょうか?
不動産投資のローンを組む際に必要な自己資金の金額はどれくらいですか?
仮に2,000万円の物件を購入するとした場合、頭金が10万円、ローンの諸経費は60万円から80万円になります。
ただし、ローンの組み方や条件は個人の年収や借り入れ状況によって異なります。
「利回り」という言葉はよく耳にしますが、具体的には何を指しているのでしょうか?
「利回り」は仮定の数字で、入居者が1年間通して住み続けた場合の賃貸収入が、投資した金額に占める割合を示す指標です。
一般的に利回りが高い物件は魅力的な投資先と見られがちですが、実際には高い利回りには潜在的なリスクが伴うこともあります。
まとめ
2,000万円の自己資金を有する方は、不動産投資を始めるにあたって、預貯金だけでなく、物件の価格や自身の年収、属性などが融資承認に影響します。
不動産投資では、レバレッジを活用して資産を最大限に活かすことが可能です。もちろん、購入後には管理費や修繕積立金などのコストもかかりますが、長期的な視点を持ち、計画的に進めることができれば最大化できる投資の一つです。
不動産投資のメリットを効果的に活用し、資産を最大限に活かしていくことがポイントとなるでしょう。